【エルトラックが教える】楽しさを作り出すポイント

【エルトラックが教える】楽しさを作り出すポイント

ERUTLUC(エルトラック)
<p>みなさん、こんにちは!<br />
今回は「人はどのようなときに楽しいと感じるのか」をキーワードに、<br />
この疑問を紐解きながら、楽しい空間を作り出すポイントについて今回はお伝えしていきます。</p>

最近楽しかったことはありますか?

<p>まず、最近楽しかったことはありますか?<br />
バスケット以外でも構いません。<br />
「旅行に行って楽しかった」「ゲームをしている時間が楽しい」「映画館で映画を見た時間が楽しかった」<br />
など、様々な「楽しい」があると思います。<br />
そのときに、俯瞰して自分を見てみましょう。どの「楽しい」にも共通の特徴があります。<br />
それは「時間の経過」に特徴があります。<br />
バスケットの試合に例えてみましょう。<br />
4Qラスト3分で2ゴール差の試合をしているとします。<br />
プレーをしている間や応援している間は凄く長い三分間に感じたり、<br />
試合が終わってみれば、「あっという間だったなあ」と感じる方が多いのではないのでしょうか?<br />
人は1つの物事に夢中になったり、没頭したとき、時間の経過に特徴がでるといわれています。<br />
この特徴は「フロー状態」にあるとあげることができます。</p>

フロー理論から「楽しい」を作り出す。

フロー理論から「楽しい」を作り出す。
<p>では、「フロー状態」とはどのような状態なのでしょうか?</p>

<p>主にアメリカで研究生活を送ったミハエル・チクセントミハイという方がいます。</p>

<p>チクセントミハイ氏の著書「フロー体験 喜びの現象学」という本の中では、 フロー状態:自分自身の「心理的エネルギー」が、100%、今取り組んでいる対象へと注がれている状態 と書かれています。</p>

<p>上の図を見てください。</p>

<p>このグラフは 横軸:自分のレベル 縦軸:相手や対象とするもの難易度 を表しています。</p>

<p>例えば、自分がバスケットを始めたばかりなのに、対戦する相手がプロ選手のようなレベルの人と1on1をしても、 これは「絶対に無理だ」「手も足も出なくてつまらない」となってしまいがちです。</p>

<p>また逆に6年間バスケットを週に3回2時間練習してきてスキルレベルが高い選手に対して、その場ドリブルを永遠とさせてもつまらなくなってしまいます。</p>

<p>この水色の部分のお互いのレベルが拮抗している状況を演出できると 「できるかな?できないかな?」 「勝てるかな??勝てないかな?どっちが勝つのだろう?」 とウキウキ・ワクワク・ハラハラ・ドキドキした空間をつくりだすことができます。</p>

レベル差をコントロールする方法

<p>確かに、できれば同じぐらいのレベルの選手と練習をしたり、ほんの少しだけ難しい練習を提供すると「フロー状態」に入ることはわかりました。<br />
しかし、地域のミニバスや地元の中学校での部活動だと色々な学年やレベル差の選手が集まることも多いです。<br />
このようなときはどうしたらよいのでしょうか?<br />
様々な方法があるかと思いますが、ここでは1つの例を元に解決策を紹介していきます。</p>

<p>【例1】指導者は一人です。1年生から6年生まで一緒に練習を行わなければいけない。今日は1on1のジャブステップを練習します。<br />
■解決策:得点のコントロール<br />
最初の技術を伝える時間は上級生にミニコーチをやってもらい、下級生に教えながら自分も練習してもらいます。<br />
ある程度の分解練習が終わった段階でそれぞれのレベルが拮抗する相手とペアを組みながら1on1をライブでしていきます。<br />
このときにただライブで1on1をするだけだと、その前の練習で上手くポイントを伝えられなくて心が折れる上級生がいたり、なかなか上手くできなくてつまらないとなってしまう下級生も出てきてしまいます。<br />
ここで重要なのは、ライブ練習になったときのポイントの付け方です。<br />
ポイントの付け方の例<br />
・突き出しをトラベリングせずにできたら1点<br />
・シュートを決めたら1点<br />
・ディフェンスがカット、ブロックをしたら1点<br />
・上級生を倒したらボーナス1点<br />
・ドリブルの回数制限(上級生は3回、下級生は5回など)<br />
・自分からお願いしますを言えたら1点<br />
等というように、回数の制限や成長へ繋がる行動の評価・下級生特別ポイントなどで低学年でも得点が取れるようなルール設定の演出がまず1つ大切になってきます。<br />
次に重要なのが、liveの1on1の時間が終わったら、自分の得点を分解練習時にペアを組んでいた上級生・下級生ペアで合計させます。<br />
そうすることによって、分解練習中から「ちゃんと教えてあげないと勝負に勝てない!」という競争への意識付けや、「先輩・後輩のためにも頑張ろう!」という気持ちがサポートし、分解練習時にも心折れることなく意識が向けられるようになってきます。<br />
色々な側面から「フロー状態」になるように「楽しい」の要素をちりばめて練習を組み立ていく必要があります。</p>

「楽しい」の要素を考える

<p>では、先ほど「楽しい要素をちりばめる」と話しましたが、「楽しい」にはどんな要素があるのでしょうか?<br />
「楽しい空間」にはウキウキ・ワクワク・ハラハラ・ドキドキといった感情が生まれます。<br />
この感情を生み出すには主に4つがあげられまず。<br />
・競争することが楽しい<br />
・成長することが楽しい<br />
・競争そのものが楽しい<br />
・仲間と協力することが楽しい<br />
先ほどの例を見てみましょう。<br />
バスケットそのものが楽しいという選手はもちろん練習そのものが楽しいと思いますが、<br />
まだ始めたばかりでバスケットにはまっていない選手にとっては、自分の成長に対してもポイントがつくので希望の光が見えてきます。<br />
また、その成長ポイントで勝利する可能性も出てきます。<br />
そして先輩・後輩ペアを組むことで「仲間と協力することが楽しい」を演出することができます。<br />
このように普段の何気ない練習にも楽しさを作り出す4つのポイントを取り入れることによって、様々な視点の「楽しい」を演出することができるようになります。</p>

没頭・没入のスパイラル

没頭・没入のスパイラル
<p>このように「楽しさの要素」をちりばめつつ、「フロー状態」を作り出していくと、<br />
「もっと上手くなりたい!」<br />
「もっと知識を増やした!」<br />
という欲求が出てきます。<br />
この欲求にたいして、少し難しいことを伝えたりチャレンジをして<br />
「できた!」<br />
を増やしていくと<br />
「バスケット(その活動)自体が楽しい!」<br />
となり、没頭・没入のスパイラルが回り始めます。<br />
このスパイラルを回していくためにも、指導者や保護者の方は選手の様子をみて、<br />
「フロー状態にどうしたら入るか」を見極め、設定をしていく必要があります。<br />
最初の「できた!」の提供はフロー状態のグラフからもわかるように、簡単にできることを提供すると良いのですが、<br />
レベルが上がっていくにつれて「できた!」の提供には少し工夫が必要となってきます。</p>

「できた!」の質を考える

「できた!」の質を考える
<p>先ほどの図からもわかるように、より高いレベルへの挑戦となってきたときには、<br />
簡単にクリアできる内容では子どもたちの「成長の渇望」を高めていくことはできません。<br />
この「成長の渇望」が簡単に満たされてしまうと、このスパイラルは簡単に回りはしますが、大きな円となっていくことはありません。<br />
その理由は「好奇心」にあります。<br />
人は生まれながらに「知りたい!」という欲求を持っています。<br />
この「知りたい」という好奇心には3つのタイプがあります。<br />
①拡散的好奇心:いろんな方向に発生する知りたいという欲求<br />
②知的好奇心:知識と理解を深めたいという欲求<br />
③共感的好奇心:他者の考えや感情を知りたいという欲求<br />
最初の没頭・没入のスパイラルを回すためには拡散的好奇心でも構わないのですが、この拡散的好奇心はすぐに興味・関心が他にそれてしまう特徴がります。<br />
現代の社会はインターネットやSNSの普及により情報が簡単に手に入るので、「時間を費やして」情報や答えを見つけることが苦手な子どもたちが増えてきています。<br />
しかし、バスケットボールを含め、スポーツは「体を動かさないと習得ができない」ので、知的好奇心を育むのに最適です。<br />
この知的好奇心を育むためには、上の図のようなポイントが必要です。<br />
横軸:予想と現実の差<br />
縦軸:好奇心の強さ<br />
となっていて、自分が知っていることとのギャップや自分の知らなかったことがちょうど良い不整合さを生み出すことで「え?そうだったの!?」と好奇心が強くなります。<br />
ここでそのギャップが大きくなりすぎたり、小さすぎると「ふーん、そうなんだ」となってしまい、あまり好奇心は強まりません。<br />
ちょうど良い情報の提供をしていくことで、子どもたちは「もっと知りたい!」「もっと練習したい!」と労力とも思わず、成長を遂げていくでしょう。<br />
没頭・没入のスパイラルを回すためにも目の前の選手がどのような状況かを見極めていきましょう。</p>

まとめ

<p>以上のように、子どもたちの「楽しい!」を作り出すには、<br />
目の前の選手たちがどのようなレベルにあるのかを見極め、提供する練習や情報をコントロールする必要があります。<br />
またその中に、様々な「楽しい!」要素をちりばめることで、子どもたちの成長を促すことができます。<br />
子どもたちや選手と向き合いながら、指導者や保護者の方自身も「楽しい!」経験を共有していけると素敵な空間ができあがっていきますね。<br />
「努力は夢中に勝てない」選手育成の際に、少しでもお役に立てたら幸いです。</p>

ERUTLUC(エルトラック)

株式会社ERUTLUC
「バスケットボールの家庭教師」を運営している会社になります。

2004年に開始したバスケットボールの家庭教師事業は、2019年6月時点でコーチ70名以上、会員数1300名以上。
指導実績多数・各地講習会なども担当しており、「はじめてのミニバスケットボール」「バスケットボール IQ練習本」「バスケットボール判断力を高めるトレーニングブック」「バスケットボールの教科書1~4」など多くの書籍・DVDも監修しています。

【ERUTLUC代表鈴木良和コーチ JBA活動歴】
2016年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年男子日本代表サポートコーチ
2017年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年男子日本代表サポートコーチ
2018年U22日本代表スプリングキャンプアドバイザリーコーチ
2018年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年~2021年男子日本代表サポートコーチ
2021年~女子日本代表アシスタントコーチ

バスケ 指導ノウハウに関連する記事

ゼロから始める5アウトオフェンス④

ゼロから始める5アウトオフェンス④

ERUTLUC(エルトラック) 2022/11/26
ゼロから始める5アウトオフェンス③

ゼロから始める5アウトオフェンス③

ERUTLUC(エルトラック) 2022/11/26
ゼロから始める5アウトオフェンス②

ゼロから始める5アウトオフェンス②

ERUTLUC(エルトラック) 2022/11/26
ゼロから始める5アウトオフェンス①

ゼロから始める5アウトオフェンス①

ERUTLUC(エルトラック) 2022/11/26
【エルトラックが教える】バスケットボールに活用できるおすすめアプリ

【エルトラックが教える】バスケットボールに活用できるおすすめアプリ

ERUTLUC(エルトラック) 2022/08/31
【エルトラックが教える】選手の自己肯定感を高める

【エルトラックが教える】選手の自己肯定感を高める

ERUTLUC(エルトラック) 2022/08/31

関連するおすすめの動画

スポーツの練習メニュー動画がいつでも見放題。

今なら14日間無料でお試し頂けます。

カンタン1分で登録完了!

14日間の無料体験を始める