ゼロから始める5アウトオフェンス③

4on0でミドルドライブに対する合わせの練習を行います。5アウトのうちの4人を切り抜いたイメージです。
流れの中で4on0の一番端の選手がミドルドライブを行います。そうするとアタックした先の合わせが3人になります。このような状況を「ブレイク3」と呼びます。
5アウトオフェンスではこの「ブレイク3」をうまく処理することがポイントになってきます。

■ブレイク3の合わせの判断基準
・ドライバーの隣の選手がドリフトorバックカットを選ぶ
・ドライバーの隣の選手がドリフトしたら、ウイングorコーナーがバックカット
今回のクリニックでは、ドライバーの隣の選手がドリフトしたら3人のうちの真ん中の選手（ウイング）がバックカットするということを原則として練習しています。

ブレイク3の状況では、ディフェンス側はドライブに対して3人のうちの誰かがヘルプに行きます。そうするとヘルプに行かなかった残りの2人で3人のオフェンスを守ることになりますが、この時に誰もバックカットをせずに3人ともアウトサイドで合わせてしまうと、オフェンス同士の距離が近い3on2になるのでディフェンスは守りやすくなってしまいます。
このような状況で誰かしら1人がバックカットをすると、2人のディフェンスのどちらかがバックカットを守らなくてはならないので、アウトサイドに広い2on1が生まれます。
このようにオフェンスのアクションに対して、ディフェンスが次の守りをしにくくなるように準備することが大切です。

4on0で一番端の選手までパスを飛ばしたらその選手は必ずミドルドライブをします。ミドルドライブに対して上記の判断基準で合わせを行い、逆サイドの端の選手までパスを飛ばして再びブレイク3の合わせを行います。これを合計10回パスをするまで続けます。

■カッティングとリロケートが被った場合
流れの中で練習していると、バックカットした後に外に広がる動きとキックアウトした後にリロケートする動きが被ってしまうことがあります。このような場合は、トップの選手（ドライバーの隣の選手）がバックカットを選べば、1人がバックカットして残り2人がアウトサイドで合わせるという状況を同じように作ることができます。原則は真ん中（ウイング）の選手がバックカットですが、最終的にアウトサイドに2on1が作れていればチャンスを取れるので臨機応変に対応できるようにしましょう。

また、誰か1人がバックカットして、残り2人のアウトサイドの合わせにパスを飛ばした時にディフェンスがローテーションで守ってきたらエクストラパスを出し、リカバリーで守ってきたら自分のシュートかカウンタードライブを狙います。これはVol.2で紹介したローポスト3on3と同じ状況です。
このような連続した判断をうまくできるチームが、ダブルドラッグやピック＆ロールなどのチャンスを作るアクションを持っていると、そのきっかけからチャンスを広げていくことができます。

今度は①の4人の動きをディフェンスつきで行い、少しずつライブに近づけていきます。
最初だけダミーディフェンスで、ウイングのクローズアウトに出てミドルドライブに行かせます。そこからライブで4on4です。
ディフェンスの守り方を見て、ブレイク3の合わせを判断します。自分がやりたいプレーを選ぶのではなく、常にディフェンスにとって守りにくいプレーを選べるようにしましょう。

ドライバーのフィニッシュかキックアウトかの判断はVol.1で紹介したブレイク1の練習の時と同じです。自分のドライブラインにヘルプディフェンスのボディがなければ自分でフィニッシュに向かい、ボディがあればキックアウトを選びましょう。

■もしドライブが抜けない時は
レベルが上がってくると1on1を守られるケースが増えてきます。ここではそのような状況での考え方を紹介しています。
ブレイク3の状況で真ん中の選手がバックカットをしますが、ボールマンディフェンスがドライブが守ったのでヘルプディフェンスが自分のマークマンのマッチアップに戻った（抜かれていないのでヘルプに出る必要がない）場合を想定します。この場合、ディフェンスに守られたのでリクリエイトに入りますが、ボールサイドのオフェンスが3人になっているので、このような3人サイドでのリクリエイトの状況ではボールマンの隣がバックカットを行います。バックカットがチャンスになればレイアップを取ることができ、バックカットにコーナーのディフェンスが寄ったタイミングでコーナーの選手が上がってくれば、そこでもチャンスが生まれます。このような「ダイブ＆リフト」（Vol.2で紹介済み）はリクリエイトの際のオプションとして使われるものの1つです。
先ほどの4on4と形は同じで、最初のドライブをディフェンスがボディアップするので、そこからリクリエイトを練習しましょう。

ダイブ＆リフトでチャンスが作れなかった時はハンドオフやピック＆ロールを使います。チャンスの種類はいくつかありますが、1つは間合いが空いているところにパスが入ることです。オープンショットやカウンタードライブを狙うことができます。ドライブラインが完全に空いているところにパスが入ったり、ミスマッチの状況もチャンスになります。このようなチャンスを作るために合わせの原則やダイブ＆リフトのリクリエイトを行うので、それでもチャンスができなかったら素早く次なるアクションに入る必要があります。

■ダイブ＆リフトの際の工夫
最初のバックカットでチャンスを作ることでその後のリフトも効果的になるので、3ポイントラインでパスをもらうふりをしてディフェンスを外に引っ張ってからバックカットをするなどの工夫をしましょう。もしバックカットがチャンスにならなければコーナーのディフェンスは自分のマークマンに戻れてしまいます。そうするとダイブ＆リフトのアクションを行ってもチャンスは生まれないので、もしバックカットがチャンスにならずにコーナーのディフェンスが寄ってこないなと思ったら、カッティングをやめてコーナーの選手へのスクリーンに切り替えます。そうすることでコーナーの選手が上がった時に次なるチャンスを生み出すことができます。目的は、動きを追うことではなくチャンスを作ることなので、ただカッティングするのではなくチャンスがない時にスクリーンをかけるところまで判断できるとよりバスケIQが高いと言えるでしょう。
このようにオフボールの時にボールマンを助けるような動き（サポート）をすることが、良いオフボールの選手になるコツです。

「ゼロから始める5アウトオフェンス③」の様子をお届けしました。