いつも大変参考にさせていただいております。
私が新しくお世話になるチームは、新入生だけの6名の部員しかおりません。また、ミニバスをしていた生徒も少なく、直近の試合では、ミニバス経験者にボールを持たせて何とかゲームをしている状況です。
これまでの指導でも感じていたことですが、初心者を指導していくと、どうしてもオープンスキルの練習が難しく、試合では、コンタクトに負けて状況の判断ができなくなってしまいます。
段階的に試合で活躍できるようにしていくにはどうしたらよいでしょうか?
オフェンス、ディフェンスともにご教授いただければ幸いです。
要望の背景
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Sufu認定指導者の回答
皆さんこんにちは。
それでは今回も皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。
今回いただきましたお悩みは、中学校の男子部活動を見ている指導者の方から頂きました。ありがとうございます。
「私が新しくお世話になるチームは、新入生だけの6名の部員しかおりません。また、ミニバスをしていた生徒も少なく、直近の試合では、ミニバス経験者にボールを持たせて何とかゲームをしている状況です。これまでの指導でも感じていたことですが、初心者を指導していくと、どうしてもオープンスキルの練習が難しく、試合では、コンタクトに負けて状況の判断ができなくなってしまいます。段階的に試合で活躍できるようにしていくにはどうしたらよいでしょうか?オフェンス、ディフェンスともにご教授いただければ幸いです。」
ミニバスもそうですし、中学・高校の現場でもそうだと思いますが、経験年数が違うプレイヤーが多く集まっている状態で練習をしていくと、どういった形で練習をしていけばいいのか、試合の運び方はどうすればよいのか、あるいは未経験者の子たちはどのように試合で使っていけばいいかというお悩みをよくいただきます。
こういった場合はまず目標とする結果、到達点をどのように設定しておくかが第一段階として必要だと思います。
チームの状況によって違うとは思いますが、例えば全国大会を目指していきますというチームもあれば、地区の一回戦を勝つことが目標ですというチームもあるのが事実だと思います。
今お悩みをご投稿頂いた方のチームはどこを目指しているのかを明確にしておくとそれに応じてやらなくてはいけないことも変わってきます。
走り方だったり、飛び方だったり基本的なところをやらなくてはいけないのか、あるいはバスケットボールの基本的なところをやらなくてはいけないのかなど、それぞれやることが変わってきます。やることの優先順位も変わってくると思います。
目標設定の方法として要素を細分化していき、その細分化した要素をインパクト化していくというやり方があります。
細分化というのは、試合に勝つためにはどんな要素が必要だろうか、例えばシュートであればシュートの練習が必要だし、ドリブルであればこういうドリブルのスキルが必要かもしれない、例えばボールキャリーをする時にドリブルでボールを運ぶことができないといけないというような感じです。
シュートをやらなくてはいけないとなった場合、シュートはどれぐらいのパーセンテージで決めないといけないのか、そのパーセンテージを決めるためには普段どんな練習をしなくてはいけないのか。
様々な要素があります。例えば体幹や、シュートタッチや、ゲームシチュエーションに応じてプレーを使い分けるのように、目標とするものに向かって要素をそれぞれ細分化していき、その細分化した要素を、インパクト化していくわけです。
インパクト化はどういうことかというと、即効性があり、成果が出やすいものが重要で、影響度は非常に大きいが即効性がないものはやっていてもなかなか成長している実感が湧いてこないため、優先順位が選手の中でどんどん下がっていってしまうことになりかねません。まずは即効性がある、すぐに実行してすぐに成果が出やすくて、その中でもさらに影響度が大きいものはどんなものがあるのかを探してみるといいと思います。
そういったものから練習を順序立てて組み立てていくと、どんな練習をすればいいかという迷いがなくなってくると思いますし、生徒自身もやっていることに対して結果がついてきやすくなりますので、だんだんとモチベーションを上げていくことにも繋がっていくと思います。
初心者の選手を預かった場合には、成長曲線の遅れの法則というのがあるのですが、練習したからといっていきなり上手になるわけではなく、じわじわと下積みしていき、ある一定のレベルまで達すると急にぐっと成長するプレイヤーがいます。
そういったことを踏まえて、今はまだ時間がかかるかもしれないけども、しっかりと下積みを積んでいくことによって、試合を経験させたり何か一つきっかけがあることにより一気に伸びたりするということを分かった上で指導にあたってもらえると、選手がうまくいかなかった時、あるいは成長の兆しが見えた時に、こちらから手を差し伸べやすくなるかなと思いますので、ぜひ覚えておいていただければと思います。
具体的にドリルを進めていこうと思った時に、お悩みの通りでオープンスキルの練習はかなり難しいと思います。
オープンスキルはディフェンスに対してどうやって対応するかというようなところになってくるので、人数が少ないあるいは経験者と未経験者の差が大きい場合には、なかなか競り合った状態が作りづらいと思います。
一つの案としては練習する内容を「SDDL」に当てはめていくというのはひとつのやり方かと思います。
「SDDL」とは練習の進め方の頭文字をとったものです。
まず一つ目がシャドー(Shadow)、それからダミー(Dummy )、ディシジョンメイク(Decision make)をして、ライブ(Live)という順番で段階的に物事を進められますよという考え方です。
シャドーというのはその名の通りで何もつけない状態で練習をしてみること。
ダミーというのは操り人形という意味で、その子が上手くなるようにディフェンスなど相手がコントロールしてあげることで、もしドリブルチェンジの練習をしたければわざとコースに入ってあげて、タイミングを掴ませてあげることがダミーです。
ディシジョンメイクは状況設定という意味ですので、その場の状況を設定してあげて、どっちが良かったか選んでもらう練習です。ドリブルチェンジの練習であれば、まっすぐ進んだ方が良かったのか、チェンジした方が良かったのかを選んで状況に合わせてみましょうという練習です。
最終的にはライブですので、実戦形式の中でそのスキルを発揮することができるか。
SDDLはこのように順序立てて教えていく手法です。
後戻りしてはいけないわけではなく、ライブをやってみて状況判断が悪かったようであれば、ドリルで状況判断ができるところまで戻ってあげる。そもそもチェンジがおぼつかないようであれば最初のシャドーだったりダミーに戻ってあげる。途中で戻ってあげてもう1回やり直してあげる。あるいはできそうだなと思ったら途中を飛ばしていって、ディシジョンメイクから始めることも勿論できます。
ただ、ある程度のレベルになってくると次の練習内容が分かってしまって面白みがなくなってしまう子もいたりしますので、たまにいきなりこの順番を変えてみてあげたりとか、いきなりゲームをやってみて今こんなとこが上手くいかなかったねというような要素だしから入ってあげるなど色々なやり方があります。
いろいろやり方がありますが、最終的にはやはりうまくいったと言う経験を見つけられるような形を作ってあげられるとモチベーションを維持しながら、徐々にレベルアップできると思いますのでぜひ試してみてください。
②ダブルフロントチェンジ(フロントチェンジ2回)
③フロントチェンジ→ロールターン
の3つをクリアしてサイドラインをタッチし、すぐ折り返す
④ダブルレッグスルー(レッグスルー2回)
⑤フロントチェンジ→レッグスルー→バックチェンジ
⑥フロントチェンジ→レッグスルー→ダブルバックチェンジ(バックチェンジ2回)
の計6種類をクリアし、スタートした側のサイドラインタッチでゴールです。
初級:18秒
中級:15秒
上級:12秒
・DF→プレッシャーをかけ続ける
「バスケットボールの家庭教師」を運営している会社になります。
2004年に開始したバスケットボールの家庭教師事業は、2022年4月時点でコーチ70名以上、会員数1300名以上。
指導実績多数・各地講習会なども担当しており、「はじめてのミニバスケットボール」「バスケットボール IQ練習本」「バスケットボール判断力を高めるトレーニングブック」「バスケットボールの教科書1~4」など多くの書籍・DVDも監修しています。
【ERUTLUC代表鈴木良和コーチ JBA活動歴】
2016年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年男子日本代表サポートコーチ
2017年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年男子日本代表サポートコーチ
2018年U22日本代表スプリングキャンプアドバイザリーコーチ
2018年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年~2021年男子日本代表サポートコーチ
2021年~女子日本代表アシスタントコーチ