ゼロから始める5アウトオフェンス④
【エルトラックが教える】 バスケットボールのコミュニケーション編 相手に伝える技術について
今回の記事では、コミュニケーション能力を高める方法をお伝えしていきます。
相手に何かを伝えるときには、話し方やプレゼン方法などの話し手の視点から語られることが多いと思います。しかし、今回は別の視点から皆様にお伝えしていきます。
相手の状態を理解する
「より多くの子どもたちになりうる最高の自分を目指す環境を提供する」が自社の最大ミッションとなっています。
普段から多くの子どもたちをと関わる私たちは、相手を「理解してから理解させる」という考え方を大事にしながら、子どもたちと関わっています。
この考え方は「7つの習慣」というビジネス本の中で紹介されているものです。
私たちは子どもたちにわかりやすく伝える例えとして、眼科医の話をよくします。
とあるところに眼鏡が合わないといって病院にきた患者がいました。そこで、眼科のお医者さんは、「僕の眼鏡はとてもいい眼鏡だから、これをあなたにあげよう」
と勧めます。
患者から「やはりこれでも見えない」と言われると「そんなはずはない。私はこれでよく見えるんだから」と言い返します。
「それでも見えないものは見えない」という患者さんに「なんて人だ。こんなにあなたのことを考えて言っているのに」と言うのです。
あなたはこの眼科に行きたいと思いますか?
相手のためを思って言っていることでも、相手の立場にたって考えることができないと、この眼科医のような状況が起こってしまうのです。
この話から学べることは、こちらの話や伝えたいことがあるなら、まず相手を理解をしないと、その話は受け取ってもらえないということです。
まずは、コミュニケーションをしたときに相手は自分の話をどのように受け取っているのか知る必要があります。
自分の言ったこと、伝えたいことなどをどのくらい受け入れてくれるか、受け入れないかは受け取る側に委ねられているということです。
・全受容(すべての話を聞き入れる、受け入れる)
・部分受容(一部だけ聞き入れる、受け入れる)
・拒絶(否定的に聞いたり、反論したりする)
・無視(聞こうとしなかったり、聞き流したりする)
などの様々なパターンがあります。
もし、無視されたからといって叱ってしまえば、さらに相手との関係は悪化すると思います。
なので、相手に何かを伝えたいと思ったら、まずは相手が聞く耳を持つような関係性を築かなければならないのです。
そのためには、まずは相手の状態をよく観察して、どんなことを考えているのか、どんな価値観でものごとを見ているのか、話を聞くことです。
この相手を理解しようとすることや聞く能力が高い人ほど相手と信頼関係を築くことができ、相手に伝えられる人になるのです。
もし、Aさんが80の話す技術があるとして、BさんはAさんから30のことしか聞こうとしていない場合と、
Cさんは50の話す技術があるとして、Bさんは50のことをCさんから聞こうとしている場合、Cさんが優秀な伝える技術を持った人になるはずです。
聞く技術の前提にあるのは「感情移入」
伝えることは技術です。
もちろん、伝え方の勉強は重要であり、学んでいく必要があるものです。
同じように聞くことも技術です。最近では傾聴することの大事さや価値が本屋に行くと本のタイトルとして出てきている気がします。
どちらも技術である限り誰でも身につけることができます。
聞く技術は、5つのレベルがあると言われています。
1.無視する
2.聞くふりをする
3.選択的に聞く
4.注意して聞く
5.感情移入をして聞く
感情移入とは、相手の見地に立ち、相手の立場から物事を眺め、相手が見ている世界をみることであり、相手の価値観を理解し、相手の気持ちを感じること」
と7つの習慣の著書であるスティーブン・R・コビィー氏は言っています。
そして、「感情移入の本質は、相手に賛同することではなく、感情的にも知的にもその人のことを正確に理解することである」とも言っています。
ここで一度、共感と同感の違いを説明しておきましょう。
まず同感とは、相手の心情や感情に取り込まれて同じ気持ちになることをいう。
「この人の感じと私の感じは同じだ」と思うことが同感である。
では、共感とは、相手の気持ちを実感として受け取り、内面から理科することであるが、巻き込まれていない理解のことをいう。
「この人は、こんなふうに感じているんだなぁ」と思うことが共感である。
例えば、冬の寒い日に、川の中で藍染めの反物をさらしているAさんがいる。
川の中まで入ってAさんに「冷たいね」と言う人は同感している人といえる。
しかし、川の中に入っていないが、川の中のAさんのしぐさや顔つきをじっと見つめ、そしてその人との言葉のやりとりをする中で冷たさを実感としてわかり、「冷たいでしょうね」と心から言える人は、共感している人である。
「新版カウンセリングの話」著者:平木典子氏の内容を引用
感情移入ができるかどうかは、
心からその人を理解したいという想いが大前提としてあることがわかると思います。
聞く技術の段階
観察や言葉だけで相手を理解しようすることはできません。そこで、感情移入の(相手の立場に立つ)技術を紹介します。
この技術は4つの段階があります。
第一段目:話の中身を繰り返す
例→Aさん「Bさんが最近やる気なくて、練習をさぼっているんだよ。」
私「そうなんだ、Bさんはやる気がなくて、練習をさぼっているんだね。」
第二段目:話の中身を自分の言葉に置き換える
例→Aさん「Bさんが最近やる気なくて、練習をさぼっているんだよ。」
私「そうなんだ、Bさんはバスケットボールに気持ちが向いていなくて、練習にも来てないんだね。どうしたらいいかな?」
第三段目:感情を反映する
例→Aさん「Bさんが最近やる気なくて、練習をさぼっているんだよ。」
私「そうか、AさんはBさんのことが心配なんだね」
第四段目:内容を自分の言葉に置き換えて、同時に感情を反映する
例→Aさん「Bさんが最近やる気なくて、練習をさぼっているんだよ。」
私「そうか、Bさんはバスケットボールに気持ちが向いていなくて、Aさんは Bさんのことが心配なんだね。」
もし、あなたが、選手であればこの4段階のどれだったら、もっと話をしたいと感じるでしょうか?
この技術は先ほども記載しましたが、大前提に本当に相手を理解したい想いがなければ、上辺だけのものになってしまいます。
まとめ
相手に何かを伝える必要がある場合や伝えたいことがあるときにどうするか?
①伝えたい相手の状態に目を向けてみる。
②相手の状態を理解したうえで、相手との信頼関係を築くために、なぜその状態なのか傾聴をしてみる。
③傾聴する際は、同感ではなく共感するように心がけてみる。
④傾聴する際の4段階の技術を使用し、ステップアップしていく。
伝える技術や話術が得意な人、上手い人に出会ったことはあると思います。
しかし、相手のことを理解することが得意な人、上手い人に出会ったことはあるでしょうか?
なかなか居ないのではないでしょうか?
理解してくれる人が1人だけでも居てくれるととても心強かったり、安心することができたりします。
私は、運よく理解してくれる人に出会うことができました。
その人たちは、私にとってかけがえのない存在として今も、これから先もずっと支えになります。
私も誰かを支えられる人になりたい。
と思えたことが、この記事を書きたい!
という思いに繋がっています。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
皆様のこれからの活躍を応援しております。
ERUTLUC(エルトラック)
株式会社ERUTLUC
「バスケットボールの家庭教師」を運営している会社になります。
2004年に開始したバスケットボールの家庭教師事業は、2019年6月時点でコーチ70名以上、会員数1300名以上。
指導実績多数・各地講習会なども担当しており、「はじめてのミニバスケットボール」「バスケットボール IQ練習本」「バスケットボール判断力を高めるトレーニングブック」「バスケットボールの教科書1~4」など多くの書籍・DVDも監修しています。
【ERUTLUC代表鈴木良和コーチ JBA活動歴】
2016年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年男子日本代表サポートコーチ
2017年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年男子日本代表サポートコーチ
2018年U22日本代表スプリングキャンプアドバイザリーコーチ
2018年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年~2021年男子日本代表サポートコーチ
2021年~女子日本代表アシスタントコーチ