【エルトラックが教える】 1on1のオフェンスにおける考え方

【エルトラックが教える】 1on1のオフェンスにおける考え方

ERUTLUC(エルトラック)

本記事は、1on1のオフェンスで考えるべきことを記載します。
昨今スキルについては、色々な方が動画や本を出しております。
スキルを多く知っていることもとても良いことだと思います。
ただスキルはあくまで手段であること、バスケットの目的に向かって使うことが求められます。
また、スキルを使う上でも1on1の根本となる考え方を理解しておくことも重要です。
今回の記事では、そのあたりについて触れていきたいと思います。

良い1on1とは何か?

皆さん、「良い1on1オフェンスはなんですか?」と聞かれたらなんと答えますか?
この問いには、1on1についてコーチなりの定義を持っておくことが重要です。
定義があることで、その1on1が上質であるかが判断できるようになります。

 

今回は、私たちが考える良い1on1の定義をご紹介します。
私たちは、『期待値の高いプレーを演出できる』と定義をしています。
1on1のオフェンスを評価するに、上記の定義に基づいて行なっております。

定義について考える

『期待値の高いプレーを演出できること』
これについて詳しく解説していきます。
前回の記事も合わせて見ることをオススメします。

 

▼勝利の原則


上記の記事でも書いてる通り、バスケットはシュートの本数と確率がとても重要です。
その上で、中学生以上は3Pシュートがあるため本数と確率以外に期待値について考える必要があります。
では期待値とは、何か?

 

バスケットにおける期待値とは、「1本ショットした際に期待できる得点のこと」です。
算出の方法はショットの得点と確率で求めることが可能です。 
60%の確率で入る2Pショットの得点期待値は1.2点、30%の確率で入る3Pショットの得点期待値は0.9点となります。
この期待値が、毎回のオフェンスで1に近いものを選択できると勝利に近づくとされています。
それを作り出すためにあるのが1on1です。

 

私たちは、上記の加味した上で1on1で作り出すことは、「自らが期待値の高いシュートを決める」と「仲間が期待値の高いシュートを打てるように作り出す」があると考えました。
そのため定義には、期待値の高いプレーを""演出する""としています。

期待値の高いシュートを演出するために

育成年代にとっての期待値の高いプレーは、一般的にペイントエリアでのシュートになることが多いです。(選手の特徴やチームで磨いていることによっては違うこともある。)
ペイントエリアでシュートを打つために必要になることは、まずペイントエリアの侵入です。
侵入する手段は、大きく分けて3つあります。
①ドライブ
②カッティング(+パス)
③ポストアップ
上記の手段を用いてペイントエリアへ侵入し、得点を狙います。
チームによってどの手段を選ぶかは選手の特性に応じて変わってくるかと思います。
その侵入を成功させ、得点に結びつけるためには、何を考えるべきかを次章から紹介していきます。

エリアと目的を設定する

期待値の高いプレーを演出するために、スキルが必要となります。
そのスキルを数多くあります。
そこでエリアを分けてそれぞれの目的を設定することで、各エリアでの必要なスキルを整理することできます。
私たちは下記の3つのエリアに分けています。

 

・エリア1
場所:3Pラインの外側
目的:1on1を仕掛けるところ
仕掛け方には、ドリブルから仕掛けるドリブルドライブ、持った状態から仕掛けるフェイスドライブ、キャッチした瞬間に仕掛けるキャッチドライブの3パターンがあります。

 

・エリア2
場所:3Pラインからペイントエリアまで
目的:認知と判断をより多くするところ
マークマンについても、抜きされるのか、相手の方がいい状態なっているかなどを認知と判断します。また、エリア1で抜き去った場合は、ヘルプが来ているか、誰かがノーマークになっているかなどを認知し判断することが必要です。

 

・エリア3
場所:ペイントエリア内
目的:主にフィニッシュをするところ
このエリアは確率が高くできるエリアです。そのため、ディフェンスにとって最も守らなくてはいけない場所になるため、ディフェンスをかわして決めるなど多彩なスキルが必要となる。

 

この3つのエリア分けをもとにスキルを整理しています。
また練習においては、エリアで偏りがある練習をせず、3つすべてのエリアのスキルを練習することが大事となります。

1on1の成長戦略

では、エリアでスキルを整理した上でそれぞれのエリアで何から練習をすると良いか?
その点について、考えを述べていきます。

 

1on1のスキルが未熟のうちは1on1が成功するよりも、失敗することが多くなるかと思います。
抜けなかった時にプレーが止まったり、ボールを奪われたりします。それが何度も続くと、1on1をする意欲が薄れていく可能性があります。
そこで1on1を練習する際は、ディフェンスを抜き去れない前提に行うことがおすすめです。
ディフェンスにつかまった時のことを各エリアで想定して練習することで、「1度目の1on1がダメでも仕切り直しができる」という前向きに取り組めるようにしていくことがまず必要と考えます。

スキル発揮の優先順位

成長戦略を考えた上で次に考えるのは、1on1スキル伝え方になります。
1on1のスキル教える時には、必ず表のプレー(アクション)と裏のプレー(カウンター)をセットにしておくことが重要です。

 

例えば、ドリブルドライブを仕切るを伝える時に、まずアクションとしてオンサイドドライブ(ボール側へのドライブ)を教え、それをディフェンスが守りに来たらカウンターとしてドリブルチェンジをするスキルをデザインします。
この表と裏を常に考えて、アクションした時のディフェンスの反応によって次の手を伝えておくことが重要です。
また表のプレーは常にシンプルにしておくことも大切なポイントです。複雑なスキルがディフェンスに止められた後にカウンターで出すスキルがさらに複雑になってしまい、失敗するリスクを高める可能性があるためです。

 

スキルの表と裏をセットで考え、指導する際に伝えてみてください。

スキルの成長を左右する能力

スキルのアクションとカウンターを持った上で次に必要になるのは「アダプタビリティ」という能力です。
アダプタビリティとは、簡潔にいうと「相手の反応に反応する」能力のことを指します。

 

カウンターとの大きな違いは、脳の準備ができているかという点です。
カウンターは、相手を認識した上で判断をくだせるというある程度、脳が準備できた状態で発揮することになります。
それに対してアダプタビリティは、自分が思ってもないタイミングで相手に対応された時に、認識し判断する前に体が動いて次のプレーを行うというものです。

 

ディフェンスのレベルが上がってくると必然的に不意に止められることが増えていきます。
その時にパニックにならず、次のプレーにつながるようにアダプタビリティという能力を磨いておくことがジュニア期にとても重要です。
いかに練習時にその状況を作り出せるかチャレンジしてみてください。

まとめ

今回の記事は「1on1オフェンス」についての考え方を記載しました。
スキルを紹介ではなく、1on1の考え方を知ることでスキルの整理や練習の仕方が変わるかなと思います。
今の時代、映像でスキルについては数多く参考になるものがあります。
ですが、コーチ自身が整理の仕方や考え方が曖昧だと、情報を受け取り方がイマイチとなり選手に還元も良いものにならなくなってしまいます。
本記事が、そういった点で皆様の考え方の一助になれば幸いです。
最後まで、ご精読ありがとうございました。

ERUTLUC(エルトラック)

株式会社ERUTLUC
「バスケットボールの家庭教師」を運営している会社になります。

2004年に開始したバスケットボールの家庭教師事業は、2019年6月時点でコーチ70名以上、会員数1300名以上。
指導実績多数・各地講習会なども担当しており、「はじめてのミニバスケットボール」「バスケットボール IQ練習本」「バスケットボール判断力を高めるトレーニングブック」「バスケットボールの教科書1~4」など多くの書籍・DVDも監修しています。

【ERUTLUC代表鈴木良和コーチ JBA活動歴】
2016年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年男子日本代表サポートコーチ
2017年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年男子日本代表サポートコーチ
2018年U22日本代表スプリングキャンプアドバイザリーコーチ
2018年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年~2021年男子日本代表サポートコーチ
2021年~女子日本代表アシスタントコーチ

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