【エルトラックが教える】アドバンススタッツ①

【エルトラックが教える】アドバンススタッツ①

ERUTLUC(エルトラック)

今回はバスケットボールの「アドバンススタッツ」について紹介していきます。
「アドバンススタッツ」とは、以前記事で紹介した「ベーシックスタッツ」をさまざまな計算式に当てはめて数値を出したものです。「ベーシックスタッツ」が実際に試合中に起きたプレーの回数をカウントするだけのものに対して、「アドバンススタッツ」は数式を用いて情報を数値化することでベーシックスタッツだけでは見えない情報を統計的に見ることができます。

【アドバンススタッツの基本】PPP(Points Per Possession)

まずご紹介するのがPPPと呼ばれるスタッツです。PPPとは「Points Per Possession(ポゼッション)」の略で1回の攻撃あたりの得点効率を表した数字です。
チームの得点(Points)を攻撃回数(Possession)で割ることで算出されます。Pointsは「PTS」と略され、Possessionは通常「POSS」と略されます。

PPP = PTS ÷ POSS

POSSは試合映像を見てコツコツと攻撃回数を数えることもできますが、毎回その作業を行うのは中々に大変ですので、一般的にはベーシックスタッツを基に以下の計算式を用いて算出します。

POSS = FGA + (0.44×FTA) + TO

FGA:フィールドゴール試投数
FTA:フリースロー試投数
TO:ターンオーバー数

一回の攻撃の終わり方はシュートを打つか、ターンオーバーでシュートを打てずに相手ボールになるかのどちらかですので、まずフィールドゴール試投数(FGA)とターンオーバー数(TO)を足します。
それらに加えてシュートファウルを受けてフリースローで攻撃が終わる場合があります。フリースローは一回ごとに打つ本数が1〜3本とバラバラなので、そのまま足し算すると攻撃回数が余計に足されてしまいます。
そのためフリースロー試投数に0.44をかけると、フリースローで終わった攻撃回数のおおよその値が出せると言われています。

このPPPの基準値としては、BリーグではPPPが1以上だと勝利に繋がる確率が高く、それより下回ると負けに繋がる確率が高くなるというデータが出ています。一般的にも1が基準値だと言われていますので、チームとして得点効率が高いプレーを選んでいけるように試合を組み立てていけると良いと思います。

また、POSSの計算式からオフェンスリバウンド数(OREB)を引いて攻撃回数を求めることもあります。
これはチームごとのスタッツの捉え方によって、オフェンスリバウンド数を引くか引かないかどちらを採用するかが変わります。
オフェンスリバウンド数を引いてPPPを求める場合は、オフェンスリバウンドを取り続ける限り一回のポゼッションが続いていると見なすので、オフェンスリバウンドもオフェンス戦術の一つというような扱いになります。
逆にオフェンスリバウンド数を引かずにPPPを求める場合は、純粋に一回のオフェンスの質を表すことができるので、オフェンスリバウンドはオフェンスとオフェンスの繋ぎのような位置付けになります。
ここに関してはチームのオフェンスリバウンドの捉え方から、どちらの方法を採用するかを考えてみてください。

【シュートの価値を考える】得点期待値

次にご紹介するのは得点期待値(一般的には省略して期待値と呼ばれる)というスタッツです。現代バスケットボールではシュートの選択基準として最も採用されているスタッツです。
このスタッツは、シュートの確率だけでなく、そのシュートの得点も加味して考えます。計算式は以下の通りです。

期待値 = そのシュートを決めたら得られる得点 × シュートの確率

2ポイントであれば「2点 × 2P%」、3ポイントであれば「3点 × 3P%」で求められます。
計算式だけだと分かりずらいと思いますので例を上げて説明していきます。

例えば、40%入る2ポイントと30%入る3ポイントのどちらの方が価値が高いかを考えてみましょう。高確率なシュートという意味では40%入る2ポイントの方が価値が高いように思えますが、期待値を考えると答えは変わってきます。
40%入る2ポイントを10本打った場合、10本中4本入るので、4本 × 2点 = 8点入ることになります。同じく30%入る3ポイントを10本打った場合は10本中3本入るので、3本 × 3点 = 9点になり、40%入る2ポイントを10本打った場合よりも多く得点を入れることができます。つまりこの場合、確率が2ポイントより低くても、1回で3点入る3ポイントを打つ方が価値が高いのです。

この10本打った時の得点を1本あたりに換算した数値が得点期待値ということになります。(上記の例の場合、2ポイントの期待値は2点 × 40%(0.4) = 0.8点、3ポイントの期待値は3点 × 30%(0.3) = 0.9点)

【シュートの優先順位】期待値の高いシュートを打つ

現代バスケットボールでは、いかにして期待値の高いシュートを生み出すかが勝利への鍵となります。
期待値の高いシュートの順番として、以下のような優先順位がよく使われます。(括弧内は期待値の例)

①フリーのゴール下(2点 × 90% = 1.8点)
②競り合ったゴール下(2点 × 60% = 1.2点)
③フリーの3ポイント(3点 × 30% = 0.9点)
④フリーのミドル(2点 × 40% = 0.8点)
⑤競り合ったミドル(2点 × 20% = 0.4点)
⑥競り合った3ポイント(3点 × 10% = 0.3点)


実際には、身長が低いチームは「②競り合ったゴール下」よりも「③フリーの3ポイント」の方が期待値が高くなるなど多少の入れ替わりはありますが、一般的にはこのような優先順位と言われています。
まずはチームとして①を狙いにいき、ダメだったら②、それも止められたら③、④というようにオフェンスを組み立てていきます。何も考えずにミドルシュートをたくさん打ってしまうよりも、はるかに勝利に近づきます。
さらに、実際の試合のシュートは上記のフィールドゴールに加えてフリースローがあります。フリースローに関しては、1回あたり2本打つことが多いので「(1点 × FT%) × 2」で期待値が求められます。70%入るフリースローであれば、(1点 × 70%) × 2 = 1.4点となります。これは競り合ったゴール下よりも高い数値です。

このようにチームで打つシュートは、単なる確率ではなく期待値で考えていく必要があるのです。それぞれのチームでシュートの期待値を算出してみて、より期待値の高いシュートは何か、それを元にどのようなオフェンスを組み立てていくか、というようにオフェンスの組み立ての材料としてこのスタッツを使ってみてください。

まとめ

今回はアドバンススタッツの基本とも言えるPPPと得点期待値についてご紹介しました。
我々指導者は実際の試合を見た印象で試合の振り返りをしがちですが、このような数値を出すと、意外と印象とは異なった数字が出てきたりして、また違った目線で試合を振り返ることができます。
特に今回のアドバンススタッツはそこまで複雑ではないので、チームでも活用しやすいと思います。実際の印象に加えて、数値を使うことでより良い振り返りに役立ててみてください。

次回は、オフェンスを評価する指標であり、「バスケットボールを数字で分解する」ことにおいてキーとなる「4ファクター」についてご紹介していきたいと思います。

ERUTLUC(エルトラック)

株式会社ERUTLUC
「バスケットボールの家庭教師」を運営している会社になります。

2004年に開始したバスケットボールの家庭教師事業は、2019年6月時点でコーチ70名以上、会員数1300名以上。
指導実績多数・各地講習会なども担当しており、「はじめてのミニバスケットボール」「バスケットボール IQ練習本」「バスケットボール判断力を高めるトレーニングブック」「バスケットボールの教科書1~4」など多くの書籍・DVDも監修しています。

【ERUTLUC代表鈴木良和コーチ JBA活動歴】
2016年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2016年男子日本代表サポートコーチ
2017年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2017年男子日本代表サポートコーチ
2018年U22日本代表スプリングキャンプアドバイザリーコーチ
2018年U12ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年U13ナショナルキャンプヘッドコーチ
2018年~2021年男子日本代表サポートコーチ
2021年~女子日本代表アシスタントコーチ

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